定点カメラ

概要

安価な装置+簡易な施工で斜面や構造物を高頻度・面的な監視を実現

 本システムは、固定設置したカメラで連続的に監視対象を撮影し、 画像解析により対象物の日々の変位・変状を検出するものです。 監視対象が危険な現場であっても安全な場所にカメラを設置して遠隔監視できるため設置やメンテナンス時の安全も確保され、 機材の流失などに心配することなく安定的に観測を継続させることが可能です。 撮影画像は携帯電話回線等により配信され関係者間での共有も可能なため、現場に足を運ぶことなくオフィスから状況を確認できる上、 設置・撤去ともに簡単な機材を利用しているため即応性・機動性・柔軟性にも優れます。 画像解析に用いるカメラは特定の機材に限定されないため、ユーザ様が保有するカメラ・取得画像による解析も可能です(同一のカメラ+レンズにより固定画角で撮影された画像に限ります)。

  • 通信機能付きカメラによる遠隔撮影・配信
  • 撮像範囲内の異なる種類の変化抽出が可能
  • 撮像範囲内の異なる種類の変化抽出が可能

課題(ニーズ)

  • 対象物に観測機器が取り付けられない箇所を連続的に遠隔監視したい
  • 構造物・斜面の変位を面的に把握したい
  • 遠隔地から現在の状況を視認したい
など

サービス

図:定点カメラ_サービス

利用シーン

  • 現地観測機器取付箇所の状況把握
  • 地すべり斜面の変位観測
  • のり面の変位観測
  • 災害対応(斜面崩壊・地すべり・土石流)
など

特徴

① 対象物の移動(変位)と消失(変状)を画像解析によって同時に把握

 画像に映り込んだ地形が形状を保ったまま移動する「変位量」に加えて、 崩壊などによって二時期間で画像追跡が出来なくなった領域を「地表面のかく乱の発生領域」として検出することが可能です。

図:定点カメラ_特徴

② さまざまな前処理技術によりノイズの少ない解析結果を提供します

撮像画像の画角補正機能
画像の上下左右端を切り落とした「関心領域」を個々の画像からマッチングすることでカメラの風等による動揺を解消します
解析用画像の自動抽出
理想的な画像に類似した画像を探索することで、膨大な量の撮像画像の中から画像解析に利用可能な画像を自動的に抽出します
斜面変動追跡機能
画像内の特定の箇所を指定することで画像解析により日々の変位の状況を追跡し、時系列変位量として出力することが可能です
風による植生の揺れの除去
取得時間分解能の高さを利用し、短時間画像ペアで発生する反復ベクトルはノイズとして除去します(近影の植生域に多く発生)
影緩和機能
刻々と変わる太陽の高度・方位により変化する影の影響を朝から夕方までの画像を合成することで緩和し、安定した画像解析を実現します

③他の観測機器との組み合わせ運用でも効果を発揮します

 傾斜計などの観測機器を設置した箇所をカメラで監視することにより、 現地観測機器異常が発生したときの現地の概況をカメラ画像で把握して現地の状況分析を精度よく行うことが可能です。 観測機器が設置仕切れない範囲の包括的な監視機能としても非常に有用です。

 
図2:定点カメラ_特徴

活用事例

定点カメラ画像を用いた画像変位量解析により土砂移動状況を的確に把握

 定点カメラで撮像した複数時期の画像をもとに、地すべりのように地表面の形状を保ったまま滑動した領域について、 画像の類似性を探索することで変位量を抽出(左図)。 また、画像変位量解析で求めた相関係数(複数時期の画像の類似性)から「相関を失った領域」を抽出することで、 斜面崩壊・土砂流出に伴う地表面のかく乱が発生した領域を抽出(右図)。

図:定点カメラ_活用事例