衛星SAR

概要

 地盤沈下のような広範囲の変動や大規模構造物などの変位が観測できます。 対象に応じた衛星SARデータを時系列で解析することにより、面的な変位量と変状箇所を検出することで、特定構造物や地表面等の変位を把握することができます。 また、GNSS観測と組み合わせることで、衛星SAR単独の場合より、より高精度に変位を計測することが可能です。
※SAR:合成開口レーダー。マイクロ波を地面に照射し、反射した電波の強さや位相から地表を観測するセンサ。

課題(ニーズ)

  • 頻繁に立ち入れない箇所、遠隔地の構造物を観測・監視したい
  • 構造物の変位を面的に把握したい
  • 都市部の地下工事の地表面への影響を確認したい
  • ダム等の大規模構造物の地震や洪水後の影響を把握したい
  • 対象物の過去の変位を時系列に把握したい
など

サービス

図:衛星SAR_サービス

利用シーン

  • ダムの変位観測
  • 堤防の変位観測
  • 港湾構造物の変位観測
  • 宅地造成地の変位観測
  • 農業施設ため池の堤体変位観測
など

特徴

① 衛星干渉SAR解析システムの概要

 監視対象に応じた衛星SARデータにより干渉SAR解析を行うことで、 特定構造物や地表面の面的な変位量や変状箇所を把握することができます。

図1:衛星SAR_特徴

② 主に使用するSAR衛星

 計測目的(計測対象物・データ購入費・空間分解能・検出変位量)に応じて、適切な衛星を選択し、 継続的な解析によるモニタリングを実施します。

図2:衛星SAR_特徴

活用事例

フィルダムの変位計測にて干渉SARとGNSS計測を組み合わせて相乗効果を発揮

 フィルダムの変位計測において干渉SARとGNSS計測を組み合わせることにより、 相互補完による相乗効果が得られることが分かりました。干渉SARは大気中の水蒸気の影響により精度が低下する場合がありますが、 同一地区に設置されたGNSSのデータを用いて補正することにより2~4倍の精度向上が確認されました。 また、GNSSは高精度である一方、点のデータしか取得できませんが、干渉SARデータとの組み合わせで面的な把握が可能となりました。

図:衛星SAR_活用事例
ロックフィルダムの状況(上)/ダムに設置されたGNSSセンサ(左下)/干渉SARで求められた堤体の沈下(右下)